アマゾンプライムビデオで映画『哀愁しんでれら』視聴。
当初アマゾンからこの作品がオススメされた理由がわからず、作中でも心当たりがなかったのですが、エンドロールでようやくわかりました。
「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM」で賞をとった作品ということで『裏アカ』と同様の映像化だったのですね。
土屋太鳳作品を見たのは「鈴木先生」くらいだし、別に「おっさんずラブ」も見てないし、脇役陣を見ても、特に視聴履歴に被ってきそうな人も無さそうだしなぁ、と思っていたのですが、そういうことか、と。
冒頭から流れるように不幸が続いたかと思いきや、「運命の出会い」を経てすぐに医者の後妻に収まる主人公。
その時点でまだ全体の1/3も進んでおらず、これから何が始まるんです?とビクビクしながら見進めることになりました。
物語の序盤では、主人公である土屋太鳳に全力で懐いてきていた田中圭の娘「ひかり」が鍵でしたね。
そうか、そう来たか、と。
もちろん彼女は子どもなので、その性格や行動の壊れ方は唐突なものというよりは、親である田中圭に由来するもので、そしてそれはその母である銀粉蝶さんに依るものなのだ、というところまで丁寧に描いています。
このあたりに説得力を持たせるために、幸せ展開は早いうちに終えてしまったのだな、と。
その背景まで知ってしまった後では、この一家の暮らす海沿いの豪邸は、単なる富の象徴というよりは、浮世離れした狂気の塊として見えてくるから不思議です。
というか、そういう演出なのでしょうけれども。
徐々に、その狂気に気づく土屋太鳳ですが、エンディングに向けてはむしろその狂気に染まり切る展開が、作品としては素晴らしいのですが、観客としては画面を見ながら苦虫を噛み潰した表情になります。
彼女が自ら進んで田中圭の描く狂気の絵画のモデルになったあたりで嫌な予感はしましたけれどもね。
最後、事件を起こす場面。
校医として予防接種の仕事で学校に赴く田中圭に、看護師でもない土屋太鳳が付き添うのは、それだけで異様というかあり得ない展開ですが、一昔前ならそういうのもありだったかな、と。
ていうか、集団接種というのも今では無いことですしね。
自分が子どもの頃は、集団接種の際は学校の担任の教師が医師の横に立って児童の腕にアルコールを塗ってたりしました。
一緒に来たはずの看護師さんは何をしているのかとあたりを見回すと、当時は注射器も使いまわしだったので、注射器を洗って熱湯をかけて消毒をした体にしてしたりする作業に忙しく、人手が足りなかったのですね。
それは流石に当時でも本当はアウトだったのかもしれませんけれども。
医者と看護婦さんの前なら少しは嫌がる素振りもできそうですが、担任の前だと弱みを見せるのも恥ずかしく、あれはしんどかった。そんな思い出。
話がズレました。「哀愁しんでれら」の話でした。
全編通して、登場人物が効果的に怒鳴ります。
心地よいほどに怒鳴ります。
特に「ひかり」役の子はその怒声で選んだのではと思えるほどです。
いずれの怒声もその場の誰にも届かないというかピントがズレているので、観客の側も心地よく受け流せるのですね。
聞いていてスッキリする怒声というのは、久々に聞きました。
それだけでストレス解消になる、不思議な一本。
U-NEXT、dTVでも観られます。
コメント
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