風間八宏『風間八宏の戦術バイブル』読了。
本書を読んで、今のフロンターレの基礎を作ったのは風間さんなんだな、ということを再確認。
中村憲剛に対して、「自分のことだけを考えろ」とけしかけていたのは当時の映像でも見た記憶があります。
「やべっちFC」とかそのあたりの密着だったと思うのですが。
チームメイトがついてこれるかどうかを気にしてプレーに遠慮があることを見越しての助言ですね。
本書では、憲剛だけでなく小林悠や大久保に対しても、個別にどう助言・指導したかも書かれていて面白いです。
でも、それって「戦術バイブル」じゃないような・・・。
フロンターレ退任後、時を置かずにわざわざJ2に落ちた名古屋に来るあたり、チャレンジし続ける人なんだな、と感じます。
でも、名古屋には風間イズムみたいなのが根付いた風はなく、そのあたりが名古屋が名古屋である所以ですね。
フィッカデンティ監督ともなにか齟齬があったのか、いつの間にか退任になってましたが・・・。
2016年、なぜか小倉隆史を連れてきて散々なことになった名古屋ですが、その年の年末に地元中日新聞ではJ2落ちについて振り返る連載記事がありました。
トヨタ内部の人事異動の話から始まったのが地元紙らしいなぁ、と感じましたが、一連のその連載でも、すでに小倉自身について何かを問う姿勢はなく、誰が小倉を連れてきたのか、みたいな話が記事の本筋になっていたのがすべてを物語っているような。
ある幹部が吐いた、小倉について「ここまで出来ないとは」という言葉が小見出しになっていたり。
小倉が無能だということは前提となっていて、そこはもはや分析対象ではないという。
名古屋って、定期的にこういう理解に苦しむ人事をやりますよね。
風間さんも結局シーズン途中でチームを去っているし、闘莉王をクビにしたときだったり、寿人を契約満了で放り出したときとかも、もう少しやりようがあるんじゃないかな、ということが結構あります。
話がズレました。
風間さんの話でした。
本書は「戦術バイブル」とはありますが、この本に風間戦術のすべてが書かれていて、何かあるごとにこの本のどこかのページを開けば良い、というような性質の本ではありません。
そういう意味ではタイトル詐欺です。
幻冬舎らしいと言えばらしい本。
それでも副題は「サッカーを「フォーメーション」で語るな」だし、帯には「センターバックを見れば、サッカーがわかる」とあるので、言いたいことはそれでわかります。
付け加えるなら、「センターバックを見れば」というのは、守備時の自分のところのセンターバックを見てくれ、という話ではありません。
そうではなく、攻撃時に自チームが相手のセンターバックを崩しにかかる様を見れば、自分たちがうまくいっているかどうかが分かる、という意味で、あくまでも攻撃を軸とした風間サッカーならではの話です。
前半はCLやブンデスリーガで気になった試合の得点シーンを元にした解説。
中盤は自分の好きなチーム・選手の特徴分析。
終盤は川崎・名古屋時代の思い出話。
やはり、どこがバイブルやねん、ですけどね。
でも、構成に木崎伸也とあります。
ちゃんとしたサッカーライターの方が付いていて、最低限の水準は確保しましたという感じ。
でも、この方の『サッカーの見方は1日で変えられる』を読んだことありますが、1日で読み終えられなかったので、あれもタイトル詐欺w