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Amazonプライム・ビデオで映画『かそけきサンカヨウ』視聴。
原作が窪美澄さんということで納得。
登場人物のそれぞれの心の動きが、原作の段階でみっちりと書き込まれていたのではないかな、と。
シングルファザーの家の一人娘である女子高生を起点とした物語です。
主人公「陽」(志田彩良)の実の母(石田ひかり)は絵描きですが、陽がまだ赤ん坊の頃、絵描きと育児の両立が出来ずに、映画音楽家の父(井浦新)と離縁。
以降、陽は父のもとで育つこととなりました。
ですが、芸術家気質の父も家事が得意というわけではなさそうで、早いうちから彼女が食事を含め家事一般を引き受けるようになっていたようです。
ところが、父に恋人ができ、子連れ同士で再婚をしたことで、生活が一変するあたりから作品が始まります。
子を持つ家庭の育児と仕事の両立には、正解がありませんね。
家族の数だけ形はあり、理想を追い求めれば切がなく、どこで折り合いをつけるかという問題でもあります。
金ですべてが解決できるなら良いのですが、そこまで割り切れる人も少ないでしょう。
井浦新のセリフのなかで、自分たちは若かったので問題を曖昧にしたままやり過ごすことができなかった。
夫婦でどちらがどれだけ悪かったかみたいなことを言い合った。
というものがありました。
ぶつかりそうなときに、正面から衝突しないよう、あえてお互いを避けてみる、みたいな術があれば良かったのでしょう。
でも、ふたりとも若かったので出来なかった、と。
というより正確には、それが出来なかったのは若かったからだということにして、40を過ぎた今なら出来るのではないか、と考えたからこその再婚ということなのでしょう。
お互いが自由業だと特に、少し時間の融通が効いてしまう分、どちらが損をした、みたいなところでも揉めがちです。
結局のところ、有休をどこで使うかみたいな計算をするだけのサラリーマンと違い、自由業の場合、仕事の時間をこれだけ育児のために削ったので、収入がこれだけ減った、みたいなことが如実に出てしまうのですね。
育児のために、年間いくら損をした、みたいなことをお互い数字で見せあうことすらできてしまうわけです。
それに、サラリーマンであれば替えはいくらでもいるわけですが、片や絵描き、片や音楽家というのであればそうもいきません。
こうなると地獄ですね。
映画ではそういった過去のシーンはさほど詳しく描かれていません。
陽の幼い記憶では、父母の口論のさなか、自分が置き去りにされているような感覚を持った、と触れられている程度です。
それに、もちろんそんな事情は女子高生になった陽でも理解できないことでしょう。
子どもを捨てて家を出るなんてこと、できるの?と涙ながらに父に訴えます。
子どもからしたら至極当然の感情です。
でも、子どもよりも自分、仕事を選択する人生も、確かにあるのです。
本作品を見ながら、うちはどうだっただろうか、と振り返ります。
いや、うちも育児は現在進行系なので、どうだろうか、というほうが正しいのですが。
幸い、自分たちは今のところ、そのような事態にはなっていません。
けれども、生まれた直後から数年のことを振り返ると、真面目に育児に向き合おうとしたら、自分も配偶者もいずれもフルタイムで働くのは無理だったんじゃないかな、とは思います。
陽のボーイフレンド「陸(鈴鹿央士)」は、父はパイロットで不在がちなところ、母と祖母(父方)との3人で暮らしていますが、母が息子に向かって、祖母に助けられての育児だったことを吐露する場面があります。
祖母からは、なぜ早く頼ってくれなかったのか、もっと頼って良いのに、と言った言葉があったと息子に伝えています。
夫婦のほか、どこにも逃げ場や頼る先のなかった核家族であった陽の家庭は崩壊した一方、そのボーイフレンドの家庭は3世代家族であったことでその形を維持できているという描写ですね。
互いが相当無理をしないと、核家族で共働きというのは難しいのだと感じます。
井浦新は、子連れ再婚をすることで、もう一度家族を作ることにトライするわけですが、一定程度「陽」の家事を期待もしているわけで、そこは少しずるいな、とは思います。
徹底して自身は家事にはタッチしないわけで、うちじゃ許されないなー、なんて見てて思いましたが。
ただ、そういう形であっても、陽は「家族」を求めていたのだことは、新しい母とその連れ子を受け入れていく様からもうかがい知れます。
傍から見ると、ヤングケアラーとか搾取とか、そういう言葉が浮かんできてしまいますが、家族のかたちに正解はないのでしたね。
本作、『アイネクライネナハトムジーク』と同じ今泉力哉監督作品です。
擦れてない思春期の少年・少女の心の揺れを撮るのが上手い、というかそういうのを撮りたい監督さんなのかもしれません。
U-NEXTでも観られます。
コメント
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