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Amazonプライム・ビデオで映画『ちょっと思い出しただけ』視聴。
池松くんの映画は『宮本から君へ』以来です。
いや、『万引き家族』でも少し出ていたか。
『紙の月』あたりでは見られた少年っぽさも抜けて、普通に影のある青年を好演してますね。
本作は、主人公照生(池松壮亮)の誕生日である2021年7月26日から物語が始まります。
一年ずつ遡っていきながら、ヒロイン葉(伊藤沙莉)との恋の始まりから終わりまでを逆に追っていく、という面白い作りです。
始まりが2021年の夏で、登場人物が一様にマスクを着用していることからも伺える通り、コロナ禍なのですね。
コロナが二人の間を変化させた、とかいうことは無いのですが、過去のほとんどがコロナ前の物語であるというだけで、なんとももう取り返しのつかない昔のことのように感じられてしまうのが面白いところです。
基本的に、互いが互いのことを「ちょっと思い出しただけ」的な感じで、過去の印象深い二人の出来事の切り取りで映像が続きます。
二人の会話がストーリーを形作るので、それぞれシーンとしては脈絡のない、というか特に共通点の無いものが多く、その分その都度特別出演的に結構面白い人が出てきて、それだけでも楽しめます。
エンドロールを見て、あれ?出てたか?みたいな人も散見されたりして。
個人的にはタクシードライバー役でワンシーンだけ登場の鈴木慶一さんが一番笑いました。
それに比べると國村隼さんは要所要所でキレのあるセリフを吐いて、半ばは狂言回しみたいになってましたが、それでもエンドロールによると「友情出演」だそうです。
それにしても、座り方、膝の使い方一つでゲイっぽさって出るんですね。
出会いから一年かけての交際発展とかは、映画の作り上そういうお話にしたのだろう感がありましたが、照生のダンサー生命を失う怪我を期に、互いの間が合わなくなっての突発的な別れは、リアリティがありました。
自らのタクシーから照生を追い出し車を出発させた葉は、バックミラーを覗きながら「追いかけてこないのかよ」とつぶやいてはみるものの、その後も互いに連絡をとることはなく、自然消滅したのでしょう。
そういう別れも、ありますよね。
あのとき追いかけていれば、的な。
でも、今回の場合、照生は足首の靭帯を痛めてるのだから追いかけたくても追いかけられなかったと思いますよ?葉さん。
なんだかんだ言って、葉は子持ちのお母さんになっていて、まあ、だからこそ「ちょっと思い出しただけ」の過去の恋愛話。
あー、こういうのあるある、と頷きながら、昔のことをちょっと思い出してエモくなってみたりして、それでも今のパートナーには言えないな、なんてことを考えたりする契機になりそうな一本。
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