Amazonプライム・ビデオで『万引き家族』を視聴。
アマプラで是枝作品を連続して見てしまっておりますが・・・。
単に、「この作品をご覧になったお客様は次の作品もご覧になっています」に沿って視聴していっているだけという・・・。
本作は、最初は希林さんの遺作という触れ込みで、その後カンヌを取ったという前評判も付き、それから政界との軋轢みたいなものがネットでにぎやかになり、まあ、作品自体に集中できない感じというか、あんまり中身についての話を聞かない作品でした。
そういう意味では逆に先入観なく見ることの出来た映画ですけれども、これ「万引き」は確かに本作の鍵にはなっていますが、主題というわけではないのですね。
どちらかというと作品の中で扱った題材のうち、キャッチーになりそうなものを題名に拾った、という感じです。
また、「家族」が疑似家族なのは、どういうわけか作品が始まってすぐに読み取れたのですが、どうしてでしょうね。
セリフや映像の中で登場人物間に感じる距離感などでしょうか。
家族というには少し違和感があるところが、無意識の中に刷り込まれてくる感じ。
そういうところも、冒頭からすでに監督の術中に嵌っているのでしょう。
どこでそうわかるのかについては、多分真面目に分析する人が、すでに解説してくれていそうな感じはあります。
でも、殺人の前科あり、とかそういうところまでは終盤にならないとわからないのですが。
リリーさんの「息子」役の少年は、また監督が好きそうな感じの子ではあるのですが、どうも柳楽くんに比べると目ヂカラが弱いような・・・。
「妹」思いの優しい少年という造形は『誰も知らない』と同系なのでしょうけれども。
終盤で、「息子」の敢えての万引失敗と逮捕から、急に高良くんと池脇千鶴が出てきて、あれ?映画が変わったか?なんて思っちゃったりしましたが。
それくらいの角度をつけないと、作品中の疑似家族の「家族」っぷりが安定していて崩れなかった、ということの現れなのかもしれません。
なにせ、「祖母」の希林さんが死んでも、庭に埋める程度で日常を取り戻してしまうほど強度の強い「家族」です。
あのシーンでは、年金を当てにした生活を皆で続けるなら、そういう結論になるだろうなぁ、と見ていて思いましたけれども。
最後、余韻を残して終わるのですが、実の家族の元に戻り再びネグレクト状態に置かれることとなった「妹」である女の子が、アパートの共用廊下から外を見てなにかを話しかけるのは、「姉」である松岡茉優が迎えに来たから、という筋書きであってほしい、と勝手に思ってしまうのでした。
こういうのは、ストーリーに何やかんや言うのは野暮で、日常を切り取ったドキュメンタリーのような映像を楽しむのが正解のような気がします。