Amazonプライム・ビデオで映画『お嬢ちゃん』視聴。
先日のCDBさんが激賞していた萩原みのり主演映画ということで観てみました。
彼女を中心にはしていますが、いくつもの怠惰な若者の日常が、鎌倉の風景ととともに切り取られて映像となっている作品です。
あくまでも彼女もその切り取りの一つ、といった位置づけでしょうか。
何せ、冒頭しばらく主人公が登場せず、どれが主役なんだ?と探してしまいました。
事件とドラッグのないトレインスポッティングみたいな感じでしょうか。
いや、トレスポからその2つを取ったら何も残らないか・・・。
それでも全編を通して見終えると彼女の目力が印象に残る作品です。
CDBさんによると、この目の強さが10代のころには、彼女をアイドル女優として使うことを難しくさせていたのではないか、という分析でした。
当時21歳、もしかしたら今はもうこういう目は出来ないのかもしれないですね。
いや、女優ならできるのか。
まあ、直近の作品を観たことが無いのでなんとも言えませんが。
でも、ああいう目をしながら日々を送れるのは若い頃の特権ですよね。
許されるうちは、直さなくても良いと思います。
でも、歳を取ってもああいう態度だと、単なるイタいひとです。
黒島結菜さんも、先日テレビで一瞬見た『ちむどんどん』での表情は、まだ高校生?のときの話なのか、『明け方の若者たち』でのものとはまったく違っていましたしね。
女優さんの演技力というのはすごいものです。
本作は、主人公含め、登場人物の役名と現実の芸名とが皆同一で、というかどこまでがプロの俳優さんなのかもわからないし、セリフもどこまで脚本に落とし込まれたものなのかもわからないくらい、どこにでもいそうな若者たちの、他愛もない会話の切り取りが続きます。
そんな世界に入り込んだ異物のように、役の上での彼女は、発達障害を疑うレベルで他人との会話に余白がないというか、ストレートな物言いで、相手、特に男を苛立たせます。
話が進むにつれ、そういった態度の一因に、同居している祖母の息子だった人(つまり彼女の父親)の生き様があることが、なんとなく観客に明かされるのですが、それで何かが変わるとか救われるとか、そういうこともありません。
強いて言えば、最初から最後まで、痛々しいほどに孫に優しいお婆ちゃんの態度に、観客の我々が納得するようになった、というくらいです。
昔、予備校講師のバイトをしていたころ、生徒に同じような目をした子がいました。
ぶっきらぼうな口調も同様で、その子のことを思い出しました。
当時の彼女が、何に苛立ち、何に抗おうとしていたのかはわかりません。
でも、街を歩くだけで、何度もモデル事務所にスカウトをされるような子でした。
受験が終わった後、とある事務所に入ったということを、その後人づてに聞きました。
しばらくは、事務所のサイトには「所属アーティスト」として載っていたそうですが、特にテレビ・雑誌等で見かけたこともないので、(私が疎いだけだったかも知れませんが、)その道では大成しなかったのでしょう。
本作を見ながら、あの子は、ここでの萩原みのりのようにああいう目の使い方を、一旦カッコに入れて演技の一つとするような生き方を出来るほどには器用ではなかったのかな、と。
というか、それを活かしてくれるような人なり作品なりに出会えなかったのかな、と。
まあ、まったく本人にその道でやっていく気がなかったというだけかもしれず、あまり詮索は無用でしょうけれども。
当時、他にもモデル事務所にスカウトされた子はおりましたが、表の仕事はせず、その事務所の社長の愛人をすることになりました、みたいなケースもありましたので、何が正解かはわかりませんしね。
ただ、この映画での彼女を見て、それから、この作品以降も続々と仕事が舞い込んでいる、という話を聞くと、同じような表情をしていて同じような目つきで同じような世界に入って、何がその後を左右するのだろう、と思ったのでした。
dTV、U-NEXTでも観られます。
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