松村邦洋『松村邦洋「鎌倉殿の13人」を語る』読了。
松村邦洋による「鎌倉殿の13人」の非公式ガイドブックでしょうか。
ひとりで語りまくるその様は、彼のYouTubeチャンネルをみているような感じです。
というか、彼が語ったことを文字起こしして本にした、と言ったほうが良いのかもしれませんが。
三谷さんに内容を聞いていない分、好き勝手なことを書けるので、これが読んでいて楽しい。
事前に聞けていたのは、北条政子は小池栄子です、ということくらいだったそうで。
非公式の便乗本には非公式ならではの面白さの追求の仕方があり、それを実践しているという感じですね。
一応、「本書は大河ドラマ放送前に制作したものです。ドラマの内容を想像し、勝手にガイドしていることをご了承ください。」と断っているので、何の問題もありません。
ドラマの俳優の写真などは一切使っていませんしね。
でも、挿絵の似顔絵が・・・、誰が見ても今回の「鎌倉殿の13人」の配役だという・・・。
ただ、前半は彼の大河への思い入れ、特に「草燃える」についてのことを中心にした雑学披露のオンパレードで、これはまさに彼の語り口調なのですが、後半の各御家人を扱った章は、資料をきちんんと読み込んでの書きぶり(話しぶり?)のせいか、さほど流れるような感じではないのですね。
もしかしたら、ここは一定程度ゴーストさんを使ったかな?、という。
時折、あのときの大河ではこう描かれていた、みたいなエピソードを入れてくるあたりは、完全なゴーストではないでしょうけれども、史学科出身の編集さんがまとめた、もしくはたたき台を作った、とかいうこともあるかもしれませんね。
とはいえ、彼はサバン症候群なので、ご自身の知識でまったく自力で書いている可能性もありますので、そうだったらごめんなさい、ですけれども。
でも、巻末の参考資料で42冊。
それらを事前に編集さんからガバっと渡されて、「これ全部読んでから語ってくださいねー。」みたいな指示で進めたなんていうことは有り得そうです。
前半の流れるようなトークに比べて、後半は語尾に「なんですね。」「ですよね。」を多用はしているものの、あんまり言葉が流れていかないので、そこは少しひっかかりました。
あと、校正が甘いところも。
「ただ、一方の源氏は、頼家の子どもの実朝が鶴岡八幡宮で頼家の子どもの公暁に~」
とありますが、、、実朝は頼朝の次男ですね。
後半部分はさておき、前半部分でわかるのは、彼の知識量のほとんどが大河を始めとしたテレビドラマに依っているということ。
本人もあとがきで述べていますが、ドラマを歴史上の事実だと錯覚してしまう、と。
彼の中では大河ドラマも金八先生も同列で、どちらも「歴史的事実」なのかもしれませんね。
與那覇潤さんが『平成史』のなかで、必ずしも学歴が高くなかった昭和の人々の統一的な歴史理解を助けたものとして、「歴史読本」などの読み物や大河ドラマというものがあったとしていますが、松村邦洋は、その最後の世代なのかもしれません。
彼がよく着ているTシャツが示すとおり、「大河愛」に溢れた一冊。
多分、便乗本では一番おもしろいと思います。
(実は、他は公式含め立ち読みしただけですが。)
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