エムカク『明石家さんまヒストリー1』読了。
エムカクさんというお名前は初めて聞きましたが、本には「明石家さんま研究家、ライター」とあって、あー、これは少なくともこの本の出版までは市井のさんまオタクだな?と。
この本の内容の大部は、水道橋博士のメルマガに連載されていたものだそうで、そのあたりの経緯はよくわかりませんが、「君、面白そうなことやってるねー」的なノリで彼に引っ張り上げられたのでしょうか。
水道橋博士の本は実は読んだこと無いのですが、テレビブロスや港区の広報誌の連載で文章を読む機会はままあり、文才のある人だなという印象はありました。
初期のTwitterでは結構面白いことを言っていたように思うのですが、最近はこういう書き手のプロデュース業みたいな感じになっているのでしょうかね。
で、このエムカクさん。
こういうこと書くと失礼になるのですが、まだ書き味が定まらないというか、引用とご自身の文との境が曖昧になるようなところもあったり、同じ場面を複数の引用で説明しようとして、説明が冗長になったりと、少し読みにくいところはあります。
しかしそれを上回る「さんま愛」というか熱量というか、そういうものですべてカバーしていますね。
メルマガでの連載の文章を少し削って本に纏めたそうで、この本だけでも結構ボリューミーなのに、元々はいったいどんなに濃厚だったのか、と。
さんまさん本人は、本書を読んだかどうかは不明ながら、少なくとも出版にあたっては
「それはお前のやから、お前の勝手にすればいい」
と言ってもらえたほどにはその愛は伝わっていたんじゃないでしょうか。
ノンフィクションで、たしかに読めばストーリー的なものもなくはないですが、生い立ちから追うというよりは「明石家さんま全仕事」的な側面が強く、様々な資料を調べ上げて、デビューしてからの出演舞台・番組を網羅するという勢い。
逆に幼少期についてはあまり触れられておらず、内容が明石家さんまご本人が「一番おもしろかった時代」という高校時代以降からになるのは、ご本人があまりこれまで語っていないところは著者もカバーできていない、ということなのでしょう。
調べきれなかった幻の番組については、本書の中で読者に情報の提供を呼びかけるなどしており、こういうのが新時代のノンフィクションライター(という括りも疑いますが)なのでしょうか。
自身でTwitterアカウントやYouTubeチャンネルを持つなど、双方向性については、旧態依然のライターさんに比べると、元より敷居は低い、というのはありますね。
こういった全仕事を網羅したい、という熱量を前にすると、読んでいてもノンフィクション作品としての出来栄えとかストーリー性とかはどうでも良いな、という気がしてきます。
それくらい荒削りなまま引き込まれます。
Amazonレビューでは、「ターゲットがわからない。脈絡のない事実のみ。文才が無い」といった意見もありますが、著者は意に介して無さそうですね。
著者が知りたいのは明石家さんまの一挙手一挙動であって、知り得た情報のシェアの仕方に文句を言われても、というのはあると思います。
せっかくいただいた出版の機会も、出版の事実よりも、それによってもっとさんまさんの情報が集まるかも、ラッキー、くらいにしか捉えてなさそうな節もあります。
実際、本書は章立ても年単位。
生まれてから高校を卒業するまでの1955~1974年こそまとめて第一章になっているものの、そこから先はほぼ年単位。
第4章:研鑽ー1976年の明石家さんま
第5章:覚悟-1977年の明石家さんま
第6章:刺激-1978年の明石家さんま
といった具合です。
仮置で年表作ったから、残りを埋める情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらご連絡ください、といったところ。
で、それでも400ページを超える大著ですが、書名が『明石家さんまヒストリー1』とあることからもわかるとおり、半生記本のはずが、途中で終わり。
1981年、ひょうきん族が始まった年でおしまい。
6月に『ヒストリー2』が出るからよろしく、とのことです。
でも、1982~1985だそうです。
全何巻になるのでしょうか・・・。
コメント
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