浜崎憲孝『僕、はまじ』読了。
表紙からも分かる通り、「ちびまる子ちゃん」の登場人物「はまじ」のモデルとなった方のエッセイです。
モデルとなったというより、作品でも本名で登場しているので、あの漫画に出てくるエピソード含めてほぼ本人なのでしょうけれども。
ちびまる子ちゃんは、アニメ化される前から知っていました。
というのは、妹が毎月りぼんを買っていたので、それで読んでいたんですよね。
りぼんの中でも「ちびまる子ちゃん」と「お父さんは心配症」だけ、少し異色な感じでしたよね。
アニメ化されたとき、ナレーションがキートン山田さんで、少し違和感を覚えたのを記憶しています。
漫画を読んでいるときは、あれはすべてさくらさんが自分でツッコミを入れているものとして読み進めていたので。
それにしても当初はこんな国民的アニメになるとは思いも寄りませんでした。
山本リンダの曲だって、どちらかというと米米が歌ってるやつ、という認識でしたし。
バブルの終盤から弾けた直後の喧騒というか、そのあたりの時代からすると、ノスタルジックな過去を振り返るみたいなのが良かったのでしょうか。
漫画連載の頃は、4月号になっても進級せず小3が続くことについて、「小3のころが一番かわいいと思うので」とかいう作者コメントが添えられていましたが、今や日本一有名な3年4組です。
それも、高度経済成長期の地方都市の空気をそのまま残した形の。
そんな清水市の小学校のあるクラスから、漫画家(さくらももこ)もJリーガー(長谷川健太)も出たことになったわけですが、もちろんそうではない人が大多数。
「はまじ」はその筆頭なのでしょう。
本書は、そんなはまじ自身のことを、てらうこと無くコンテンツに落とし込んでいます。
どことなく『東京の生活史』を読んでいるような感覚に襲われました。
いや、本書は東京ではなく清水の生活史なわけですが。
はまじさんは物書きとしては素人なので、文章の巧拙とか、そういった部分は別に良いのです。
あの小学生が、その後どういう人生を送ったのか、ということが関心事なので。
でも、それにしては、大人になってからのことはあまり書かれておらず少し拍子抜けしたのは事実です。
はまじさんとしては、みんなが知りたいのは3年4組のことだろうから、ということでそこを膨らませて書いた部分が大きいのでしょうね。
でも、それだけでは埋まらなくて、小中高とその先のことを少し書いてみた、という感じです。
それにしても、はまじさんの小学3年生時代は過酷だったようです。
今だったら体罰で問題になりそうなレベルでのプール指導とそこから逃亡する形での登校拒否。
自分のころでも、そこまでの鬼指導はなかったけどなぁ、と思いましたが、一回りくらい年齢が違うので、同じ昭和の小学校でも、だいぶ違いはあるのでしょうね。
知りたかった大人になってからのことはだいぶ割愛されていますが、あとがきで、つい最近までトラックの運転手をしていたけど酒気帯び運転で捕まりクビになった、とか、かなりトホホなことをさらっと書いています。
だから今はフリーターです!、なんて元気よく言われても・・・。
今や天国のさくらさんに「本当にバカなやつだよ。」とか言われてそうです。