ベン・カールソン『お金で騙す人お金に騙される人』読了。
副題に「「金融・経済」詐欺の事件簿」とある通り、詐欺事件の事例が多く載っています。
著者は運用会社の役員とのことで、単なる詐欺事件の事例集だけで一冊を書き上げるわけにはいかなかったのか、途中、管理通貨制度の導入とバブルについての話に章を割いています。
これで少し話が発散してしまったような感がありますね。
最後に、どういう人が騙されやすいのか、騙されないようにするにはどうすれば良いのか、ということをまとめているのですが、それまでの内容で、詐欺のことだけでなくバブルの話にまで広げている手前、助言もまた、詐欺にあわないためのTipsから、バブルに踊らされないための心構えみたいなものにまで至ってしまい、どうも読後感もよろしくないです。
詐欺の分類も甘く、理想を追うあまり現実に落とし込んだときに欠点が顕になり結果的にペテンになってしまったケースと、最初から詐欺行為を働くつもりで事に臨んだペテン師とを分けているのですが、前者についてはジョン・ローのフランスでの管理通貨制度導入とその帰結についての話だけです。
これは詐欺として取り上げる必要はなかったのではないかな、と。
管理通貨制度が導入されてバブルが起きて萎んだ話を無理して入れたのですが、ジョン・ローをペテン師として描くのは気がひけるのでこんな分類を作ってみました、的な風情。
筋がよろしくない。
詐欺事件の話に特化した本なら他にもいくらでもありそうだし、管理通貨制度や信用創造、中央銀行の歴史などを真面目に学びたいなら、『MONEY』とか『21世紀の貨幣論』とか、そのあたりをお勧めします。
貨幣論本
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