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バリー・ランセット『ジャパンタウン』読了。
『トーキョー・キル』を読んだ後、第1作も読んでみたいと手に取ることに。
正直スケール感や奥行きは『トーキョー・キル』のほうがあったかなー、という感じも。
本書がデビュー作ということもあるのでしょう。
説明のための説明みたいな箇所もあったりして。
これは伏線かな?と思ったところの一部は、単に説明に使っただけだった、というような。
それでも十分に楽しませていただきました。
それから、前回の『トーキョー・キル』でのブログ記事で訂正しておかないところがありました。
主人公をアメリカ人の父と日本人の母とのハーフと書いてしまったのですが、これは誤り。
日米ハーフなのは主人公の娘で、主人公自身は両親ともにアメリカ人でした。
つまり本作以前に何者かに殺されている設定である主人公の妻が日本人、ということですね。
それでも主人公は17歳まで日本の公立校で育ったという設定なので、日本語も日本自体についての知識もかなりのレベルです。
登場人物のうち、なんとなくモデルになっていそうな人が想像できてしまうのも、著者のその知識量の故でしょう。
一代で成り上がった実業家は、三木谷・孫・ホリエモンあたりをミックスした感じです。
一番モデルとして濃そうなのは、ライブドア事件で失脚しなかった世界線のホリエモンでしょうかね。
政官財の鉄のトライアングルを敵にしたものの、スキャンダルでは沈まなかった男。
それでも家族を消されたことで内面から崩れそうになっている、というのは実世界にはない人間像ですね。
あとは、児玉誉士夫と笹川良一を足したようなフィクサー然とした老人も出てきます。
今も隠然と力を保持し続けているという設定ですが、現在の実世界だと、そのようなフィクサーはもはやいないですよね。
見える存在としてのフィクサーもいないことこそが今の日本の混乱の原因といえなくもないですが、それはまた別の話。
ちなみに自分は子どもの頃、笹川良一を見たことがあります。
子ども会で「船の科学館」に行ったとき、彼が出てきたんですよね。
ホールで施設の解説をしてもらっているときに「サプライズゲスト」として。
お約束なのかもしれないですが。
それでも子供らは皆「火の用心のおじさん」というイメージしかなく、握手してもらって喜んでおりました…。
それから、ラスボスが率いる300年の歴史を持つ暗殺者集団というのはモデルは何なのでしょうか。
イメージとしてはサンカ集団とかでしょうかね。
あとがきには、主人公たちが訪れたようなとある村落に、暗殺者たちの秘密のグループが住んでいたという歴史はあると書いています。
まったくの空想の産物ではなさそうです。
ただ、暗殺者集団が持つ特別な武器。
例えば残忍な絞殺器などですが、これはオリジナルというか白人の方が考えた日本の武器っぽいところはあります。
昔読んだ高山正之さんの本で、第二次大戦中に旧日本軍の捕虜になったアメリカ兵の「証言」で、拷問の際に使われた器具が残忍だったというものがありました。
その本では、日本兵がそのようなものを使ったという記録もないし、そもそもそういうカルチャーもないのだけれども、どうやら開拓時代にアメリカ人がインディアンに対して使った器具にそういうものがあったということで、まあ「自己紹介乙」を匂わせるものでした。
元寇のときもモンゴル軍の毒矢に苦しめられたとかいう話がありましたが、矢や刀に毒を塗るとか、残忍にクビをくくるためだけの武器とか、そういうのはむしろ大陸っぽい。
日本では武器はそういう方向には進化していかなかったような気がするのですね。
じゃあ、旧日本軍の残忍さというのはどのあたりにあったのか、と言われると困るのですけれども。
もちろんすべてがプロパガンダということもないでしょう。
末端の兵士一人ひとりに至るまで、命令に忠実にときには無表情のまま淡々と殺戮を行う、とかそっちの方向なのではないかな、と。
まあ、本作ではグローバル化した暗殺者集団となっているので、そこで大陸風味の武器も取り入れたということでも良さそうです。
細かいことは気にせずに楽しめる一冊。
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[…] バリー・ランセット『ジャパンタウン』 | ロスジェネ男子のセミリタ日記 より: 2023-02-08 07:46 […]