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黒木亮『カラ売り屋vs仮想通貨』読了。
パンゲア&カンパニーという架空の空売りファンドを舞台にした本はこれで3冊めだそうですが、初めて読みました。
好評だから続いているのでしょうけれども、過去2冊も基本的な話の流れが同じだとすると、少しずつ設定が無理になっているような気がするんですよね。
というのは、このファンドの利益の鍵を握るのは、証券会社に出入りする靴磨きのトニーによるインサイダー情報なのですが、このトニーくん、情報提供先であるファンド勢とは別に、個人で毎回数億円の利益を挙げているのです。
だから、普通だったら、最初の数案件で稼いだ時点で、靴磨きの仕事なんて辞めちゃうと思うのですよ。
続けることで、インサイダー疑惑で捕まるリスクもあるわけですからね。
その証券会社から損害賠償請求とか受ける可能性だってあります。
なんてことを考えたのですが、まあ、そのあたりはお話ということで。
本書は3つの中編小説からなるのですが、それぞれ別々の日本企業のお話です。
元ネタは、コインチェック、日本航空、テスラでしょう。
イーロン・マスクを日本人にしている設定が少しひっかかりました。
あんなエキセントリックな人間は日本人にはいないんじゃないか、と思ったりしましたが、よく考えたら全盛期の本田宗一郎とかあんな感じだったんじゃないか、なんて気もしてきました。
あとは、日本航空の破綻をつい最近の時点に持ってきていて、ゾゾ沢さんがキープレイヤーになっていたり、モリカケ問題などを契機にしつつ自民党から民主党への政権交代があったことになっていたり、と、まあ少し現実から離れすぎた平行世界も。
ただ日航の再編劇については、それこそ半沢直樹でも題材になり、かつドラマにまでなってしまったので、小説としても扱うのが難しくなっているきらいはありますよね。
(実はドラマは見ていないのですが。)
変に脚色すると、冨山和彦氏がツイッターで突っ込んできますぞw
コインチェックの話は、北朝鮮絡みというのがどの程度の信憑性があるストーリーなのかは知りませんが、ベンチャーのノリでセキュリティとかコンプライアンスとかガン無視で、それでも参入すれば儲かった時代なのだな、というのがわかります。
結果、ビジネスとしては大ゴケしましたが、マネックスに買い取ってもらって会社は生きながらえているわけで、あの界隈、やったものがちだなー、と。
小説ですが、つまらないビジネスノンフィクションより、何倍も役に立つ一冊です。
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