Amazonプライム・ビデオで映画『ヴァニタス』視聴。
内山拓也監督の初監督作品とのことです。
『佐々木、イン、マイマイン』からの流れでアマゾンからオススメされました。
同じような青春モノですが、登場人物はいずれも大学生です。
ほとんどのシーンが、大学のキャンパスで撮影されています。
体育館・校舎のロビー・教室・食堂・喫煙スペース。
非常に安上がりに仕上げていますが、ストーリーとして、主人公たち4人が交わるのは、ほとんどキャンパスの中でだけ、という設定なので、全く違和感がありません。
よく考えましたね。
軽々に、「今の若者は」なんてことを言ってはいけませんが、学内での学生同士の付き合いといっても、意外と今はこういうものが主なのかもしれない、と思わせるに十分な説得力のある作品でした。
別にサークルに属するわけでもない、飲み会があるわけでもない、授業には出席する(寝ていることはあるが)。
で、同級生との関わりも表面的なものにとどまる、と。
そんなこんなで、1年次に出会った4人は、たまに体育館でバスケに興じる程度以上には関係を深めることもなく、就職活動を始める時期に至ります。
4人での学生生活、みたいなものはほとんど描かれることなく、それでも「就活」を匂わせることで、そんな彼らの学生生活にも終わりがくることだけは明示されるのですね。
ようやくその段になって、将来への不安だの、少し見えてきた実家の格差などで、多少ぶつかったりもしますが、そこで互いに何かを分かり合うとかそれを経て関わりが深くなるとかいうこともありません。
この4人は、ただ単に同じ時期に同じ大学に通ったというだけの関係のままです。
彼らが交わす言葉が、少し上滑るところがあるのですが、同じような言葉をバイト先の大人にも言わせているので、あえて上滑らせているのが見て取れて、ゾクッとしました。
表層的な関係ならではの、空間を埋めるかの如くの表層的な借り物の言葉の羅列が、その場の会話を成り立たせている風になっている絵の映像化、という。
ところで彼らが、例えば就職活動で面接官に「ガクチカ」を訊かれたら、なんと答えるのでしょうか。
この作品を見る限り、何もひねらずに言うなら「体育館での仲間とのバスケ」になりそうです。
だから良いとか悪いとかでなく、もしかしたらこういう学生生活が普通なのだとしたら、みな就活で悩むのは当然だろうと思うのでした。
ちなみに登場人物たちはスマホを持っていません。
ガラケーでの通話とメールは時折出てきますが、それでもそれらが彼らの中でのコミュニケーションツールとして機能しているところはほとんど無いです。
LINEとかで繋がっていたら、もう少し違ったでしょうか。
いや、もっと表層的な寒い関係になっていたかな?
それからラストシーン。
冒頭の4人の出会いをやり直す形になっていて、ああいう始まりだったら、もっと違う4年間があり得たのかも、という描き方です。
これによって、監督・脚本がやっぱり本作でのこの4人の4年の関わりが望ましいものだったとは考えていないことがわかって救われますね。
『佐々木、イン、マイマイン』で描かれるテンションを期待する人には向きませんが、本作もまた、ひとつの青春譚の形です。
まさに「ヴァニタス」。
佐々木じゃない細川岳がいます。
dTV、U-NEXTでも観られます。
コメント
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