Amazonプライム・ビデオで映画『ファミリーファミリー』を視聴。
主な登場人物は老母とその息子二人。
家族三人での賃貸生活ですが、母は認知症が進み、夜な夜な怪しげな踊りを繰り返し、息子の安眠を妨げるなど。
家族内での当初の役割分担は、もっぱらニートの兄が介護、そしてラーメン屋バイトの弟が金を運んでくるというものだったようです。
ですが、物語の始まった時点ではすでに、実質的には弟が介護まで面倒見ている模様。
ニートの兄は小説家・漫画家志望ですが、まあ、特に何をしているわけでもなく。
というか、だからニートなのですが。
弟はサラリーマンだったもののドロップアウトしたことが本人から語られます。
そして今では親戚の経営するラーメン屋でのバイト生活なのですが、認知症の母親の中では今でも優秀なサラリーマンということになっています。
介護をしてくれる息子を息子と認識せず、「どちらさまですか?」と何度も尋ねる様は、本当に認知症だからなのか、息子の今を受け入れたくないからなのか、表情からはわかりません。
そんな絶望的な日々ですが、弟への癌告知と余命宣告を経て事態は急変。
本人に心の準備も何もないうちに、あんな告知の仕方なんてあるのか、とか思ってしまいましたが、そこは映画なので。
ラストシーンは、すでに弟の姿は無く、弟の死後の日常なのだと思います。
更生した兄が肉体労働に打ち込み、また母は良質な特養で暮らしている風な描写です。
また、兄は小説家としても何か形をなすであろうことを予感させる映像もあったり。
まあ、美しくまとめ過ぎな感もありますが、30分程度の作品です。
あまり深く考えてもいけないのでしょう。
とはいえ、こういった40代50代の非正規労働者が、親の介護でますます困窮していくなんていうのは、今後はありふれた姿になるのかもしれませんね。
親が認知症になっただけで生活が傾く、なんていうのは、あるある話になっても困るのですが。
昔自分が保有していた物件でも、認知症の母親のために息子が部屋を借りていた、という事例がありました。
程なくして、昼間、他の部屋の住民とトラブルになるなどして、結局退去となりました。
本人は仕事を辞めるわけにもいかないので、面倒を見るために実家の母親を自分の家の近くの物件に住まわせた形ですが、契約者は息子で、実際は親が住むということを隠しての契約だったので、退去に応じていただく形となりました。
あれも、後日どうなったものか。
多分に、自分が実家に帰るわけにはいかない、でも、自分の家での同居は妻が許さない、というので自分の目の届く自宅の近所の1Kを借りて住まわせよう、という腹積もりだったのでしょうが、結局それもうまくいかなかった形です。
本作品では経緯を省いていきなりなんとなく幸せなラストになっていて、見る人が見れば引っかかるかもしれません。