Amazonプライム・ビデオで映画『寝ても覚めても』視聴。
冒頭に爆竹に興じる子どもたちのシーンで、もう「大阪やん」とわかってしまう演出。
そこでもうこの映画が好きになりました。
その後、補足説明のために一応通天閣も映してますが・・・。
そんな大阪の写真展での朝子と麦の出会いから、二人の性格も関係も危うさも、飲み屋とクラブと岡崎家、それからバイク事故のわずか4シーンで手際よく説明され、しかもそれは過去の導入部でしかない、というこのテンポの良さがまた素晴らしい。
『劇場』での画廊での出会いもそうですが、こういう出会い方は、ベタなはずですけどね。
朝子のまっすぐなところと、麦の頭のネジが数本外れているような様も含めてさっと観客に納得させて、もう舞台は数年後の東京へ。
で、本作は朝子の物語のはずですが、その東京編はリョウヘイ目線で始まるのが面白いですね。
麦のそっくりさんとしてのリョウヘイは、その内部のコントラストを出せるほどには東出くんの演技力が高くないのが少し残念でしたが、セリフ・演出で二役の違いをこれでもかというくらいに繰り返すので、そこは理解しやすかったです。
ただ、麦とリョウヘイとをどちらも「大阪弁」を話す設定にしなくても良かったのにな、とは思いました。
どうも観客としては、
「もしリョウヘイが麦とそっくりじゃなかったら、私はリョウヘイを好きになったのだろうか。」
という朝子の自問も、
「もし共演相手が東出くんじゃない誰かだったら、その人と恋に落ちたのだろうか」
へと転化してしまい、なかなか入り込めないところはありましたけれども・・・。
とはいえ、自分自身のことしか考えない男より、自分のことを考えて行動してくれる男と暮らしたほうが女としては幸せで、朝子の最後の選択は無難というか妥当ですね。
というか、それが出来ずに結果的に両方を失う人のどれだけ多いことか。
そんな自分に気付き、自分の相手は麦ではないと決断できたのだから、あの再会と逃避行は意味のあることだったのでしょう。
最後、リョウヘイの言う「一生、オレはお前を信じない」は、「一生一緒にいる」ことの裏返し。
良かったですね。朝子さん。
現実の東出くんは、家庭も失い事務所からも契約を切られ、ちょっと残念なことになっていますが・・・。
dTV、U-NEXTでも観られます。