新庄耕『地面師たち』読了。
新庄さんの本は以前に『狭小邸宅』を読みました。
あの本は、少し前のオープンハウスが元ネタでしたが、今回はあの積水ハウスの地面師事件がベースになんですね。
森功氏の『地面師』がこの事件を追ったノンフィクションでありながら、結局のところラスボスを追えていないので、中途半端な出来になっていたのに比べると、やはりフィクションとはいえ、ちゃんと見せ場もあり、書こうと思えば続編も書けそうなエンディングになっているのが秀逸。
リアリティ溢れる筆致の背景には、巻末にある通り、ツイッターでおなじみの不動産界隈の濃ゆいメンツのお力添えがあったのですね。
どうも読んでいる間、鼓動が速くなり、いくらか血圧も上がり、肩こりもでてきました。
何に心を乱されたかというと、主人公の境遇とかそういうことではなく、自分もいつ地面師に騙されるかわからないな、という怖さ。
100億を超える案件で嵌められることは無いでしょうけれども、知り合いでも手付金詐欺にあったという程度の話は聞くわけで、あそこまで用意周到に準備されたら、もうあかんな、と。
逃げようがないでしょう。
旧知の不動産業者から持ちかけられた案件で、きちんと出来上がったストーリーで、なおかつ(自称)売り主本人が出てきて、いつもお願いしている司法書士の先生がゴーサインを出したら、多分、なんぼでも判を押してしまいますね、自分は。
相手方の業者とかブローカーの素性とかまではこっちは預かり知らないですからね。
かつて自分が買った物件でも、契約時にブローカーが3人くらい並んでたこととかあったなー、なんて思いながら、あれも嵌められてたらどうだったろう、とか。
振り返ると若気の至りで取り組んだだけの案件とかもあるな、と反省。
地主が、自分が昔から知っている業者としか付き合わないというのは、あれはあれで合理的な理由があるのだなと思いました。
こうして専業大家は人間不信になっていく・・・。
コメント
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