プライム・ビデオで映画『犬王』視聴。
平家物語を題材にしていますが、南北朝時代のお話です。
アマゾンレビューやWIkiなどを見ると設定もかなり作り込まれているようですが、そこまで理解できていないままでも、絶えず音楽が鳴っていて、そのビートで持っていかれます。
ミュージックビデオとして見ても良質ですね。
「ミュージカルアニメ」という括りになるそうですけれども。
なのでエレキギターの音は演出の一環。
ありえないとか言うのは簡単なのですが琵琶の音ともうまく溶け合っています。
昔、「The 家元」というイカ天にも出ていたバンドがありましたが、あれも三味線の音が強かったです。
当時のテレビの記憶では、あれはどうやっても音が強くならないのでエレキギターの仕組みで三味線を鳴らしたものだとか。
つまりエレキ三味線だという話でした。
普通に音を録るだけだとどんなに強く弾いてもバチの音が強くなるばかりなので、と。
本作での琵琶の音色がどのように収録したのかはわかりませんが、エレキギターの音にはまったく負けていないですね。
30年以上前の「The 家元」の時代とは録音技術も違うでしょうから、そこまでしなくても強い音は録れるのかもしれませんが。
自分自身は世代的にロックじゃないので、本作の音楽そのものにはそこまで共感というか興奮はなかったですが、明らかにモチーフがフレディ・マーキュリーだったりデビッドボウイだったりするので、ハマる層にはハマりそうです。
フェスの原点は今は消えてしまった猿楽にあったのです、みたいな解釈はさすがにやりすぎなわけですが、アニメだと許せてしまいそういうところもアニメの自由度というか得ですよね。
とはいえ原作がしっかりしている(古典なので当たり前)ので、ストーリー自体は突飛なものではありません。
そしてそれをベースに、才能豊かな者への嫉妬だとか、権力者によるえこひいきで芸が残ったり消えたりする無念さだとかも、トピック的にわかりやすく描かれています。
それに、作品の通底に流れる平家の呪いや、殺されたものの無念、そして成仏という考え方も、最初はとっつきにくかったのですが、実はすべて犬王が歌う歌詞の中で解説してくれるので、終盤になるころにはだいぶ理解が追いついてきているのですね。
これもまたミュージカルアニメという企画の勝利。
最終盤では、友を思うがゆえに芸を捨てる犬王と、捨てられずに処刑される友魚という対比です。
そのまま終われば悲劇的なラストのはずですが、現代のシーンに切り替わり改めて二人が出会って踊り始めます。
転生した犬王と成仏していなかった友魚が数百年の時を経て再会ということでしょうが、ちょっとそこは無理やりな感も。
それにあの映像だと再会したのは京都の街なのかどうかもわかりません。
異世界転生モノのことはよく知らないのですが、こういう展開というか最後は普通なのでしょうか。
とはいえ音楽で楽しめるアニメ映画の一本。
あと、久々にあぶり餅食べたくなりました…。
U-Nextでも観られます。