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田村秀男『現代日本経済史』読了。
副題が「現場記者50年の証言」と言うものですが、当にその通り。
戦後の日本の経済事件というかイベントごとには必ず取材者・当事者として立ち会ってきたであろう田村記者の事実ベースの物語です。
決して陰謀論に陥ることのないバランスの取れた筆致で、DSとかロックフェラーとかそういう名前は出てきませんが、だからこそ奥歯に物が挟まったかのような物言いの続く、中川昭一さんについての項は思わず読んでいても顔が歪んでしまいます。
そんなにわかりやすい陰謀ではないとしても、日本を隷属状態に置き続けるためにならアメリカは何でもやった、ということなのでしょう。
『東京アンダーワールド』のころからまったく変わらないですね。
本書は田村さんの記者生活50年の総括と言っても差し支えないものでしょう。
そしてそれは経済敗戦の歴史であるのですが、じゃあ我々日本人はどうすれば良かったのか、と言われたら、まあ、為す術は無かったかもな、と。
事程左様にアメリカは日本を敵視していたし、そのためならチャイナを増長させるのも自国に益すると本気で思い込んでいたようだし。
まあ、実際南巡講話あたりの経済状況で今を見通せ、というのはアメリカにも日本にも酷な話ではあります。
ただ、もう少しなんとかならなかったのか、というのは田村さんならずとも考えてしまいます。
失われた10年は20年になり30年になり。
でも、本書を読む限り、やはりクリントンあたりまではノーチャンスだったでしょうかね。
アメリカの態度が変わらない限り日本側でどうこうできる問題でも無さそうでしたし。
いや、そこでなんとかできる政治家がいなかったことが問題だ、と言い出すなら、まあそれはその通りです。
ただ、それを言い出すのは経済記者の範疇でない、ということなのでしょう。
本書でも田村さんは基本的には経済記者ということもあり、あまり政治家についての論評は深く書かないようにしているような感があります。
御本人のポリシーかもしれません。
それでも滲み出てきてしまうものがあって、そこが面白かったですね。
宮澤喜一については、一応経済のからくりも含めて理解は出来ている、という評価。
安倍さんについては個々の政策ごとに是々非々で評価。
一方、まったく評価してない感がありありなのが竹下登。
まあ仕方ない。
理想もなければ国家観もない。
残したものは消費税だけ、ですしね。
あとは、民主党政権が出来た当初、金融政策についてのブレーンとして参加したときのことも簡単に触れていますが、ご自身を招聘したのであろう鳩山由紀夫氏についてはほとんど触れていないのは、心底の呆れの現れかと…。
菅直人については結構文句を言っているんですけれども。
読むとちょっと虚しくなりますが、戦後の日本の経済史として知識として知っておいて良いことのオンパレードな一冊。