YouTubeで『岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナ』を視聴。
当該ライブの音源配信がスタートするということで、既に発売中のDVDの内容を2日間だけYouTubeで限定公開という形でした。
視聴後、配信の音源もかけてみましたが、やはり音楽のみと映像付きとでは印象は変わりますね。
ライブでは無音の中、ひとりで口パクで踊りながら「心のきれいな人にのみ聞こえる周波数でパフォーマンスしております。」というテロップが出るコーナーがあったりしましたが、もちろんそんなものは配信ではカット。MCもだいぶカット。
映像はそういう小ネタも含めてライブ自体が一つのストーリーになっています。
もっとも、当該のライブについて言えば、ツイッターや各種媒体での告知も含めて、なんならデビュー前からの一つのストーリーを練り上げた感があります。
それは、デビュー前からの夢としてのさいたまスーパーアリーナワンマンライブを、2019年6月9日に叶えた、という壮大な物語ですね。
本当かどうかは知りません。
というか、「ロックバンドにとっての武道館」というのはわかりますが、「テクノ・ミュージシャンにとってのSSA」がなにか特別な意味を持つかと言われると謎なわけで。
(ちなみに1992年、電気グルーヴの武道館には行きました。石野卓球がテクノに傾倒する前の、迷走を極めたようなステージでした。)
でも、彼はそういうストーリーでまわりを巻き込み作り上げてきたのですね。
ツイッターでも事あるごとにつぶやいていましたが、その半年くらい前のNHKのドキュメンタリーあたりでも、その世界観で通していました。
多分に彼はそういう虚構を、岡崎体育というキャラを通して、自身も楽しみつつ、それをベタに受け入れるファンも、ネタとして受け入れるファンも巻き込んでエンターテインメントに昇華させる能力があるのです。
そして彼のそんな言説に触れているうちに、いつの間にか、SSAのワンマンというのはミュージシャンが誰もが憧れるステージで、それを満員にすることが成功の証で、だから岡崎体育を応援するこのムーブメントにノッてみよう、みたいな感じになってしまうのですね。
で、チケットも捌けていく、と。
元々ブレイクしたのが「MUSIC VIDEO」という、ミュージック・ビデオあるあるをネタにした曲で、ネタとしてもベタとしても楽しめるものでした。
端からそういう立ち位置なのです。
彼は、ブレイク前から自分自身でドキュメンタリー風の動画を作成してYouTubeにアップしていました。
そこで描かれているのは、実家の勉強部屋で曲を作り、宇治のスーパーでバイトしながら、ライブチケットのノルマを手売りし、少しずつ動員を増やしていく岡崎体育、というストーリーです。
ですので、その世界観、その延長線上にこのステージは位置づけられていると理解されるべきなのでしょう。
そういえば岡崎体育のことは、ブレイク前に名前だけは知っていました。
自分が京都に住んでいた頃、自宅のマンションから少し下がったところにある小さなライブハウスで定期ライブをやっていました。
公演スケジュールを観たときに、名前が面白かったので覚えています。
当時名前を見たところで他にブレイクしたメンツでいうと、EGO-WRAPPIN’とかもいたかな?
その頃の動画を観たこともありますが、観客とのやり取りとかの様子は、今とあまり変わってないですね。
ステージの大きさと観客の数が違うだけで。
それにしても電気グルーヴ以降、日本ではギャグのセンスもないとテクノはやってはいけないみたいな風潮になってしまい、なかなかギャグセンスのない人間にとっては辛いものがありますね。
高野政所(現:プロハンバーガー)くんとか、そのプレッシャーに耐えかねて薬に手を出しちゃったのかな?なんて思うこともあるし。
いや、プレッシャーに負けて薬に嵌ったのはピエール瀧御大でしたか…。
まあ、あの事件での典型的な反応は「え?卓球じゃなくて?」で、次に「卓球は素でアレなのか。」でしたが。