喜多川泰『株式会社タイムカプセル社』読了。
喜多川さんの本は、ずいぶんと昔に読んだ記憶があります。
アマゾンで確認したら『上京物語』を2009年に購入していた模様。
帯には「夢を夢で終わらせないために」とあって、リーマン・ショック後の相場もつらかった時期に、こういう本を手に取ったのだな、と感慨深く。
あー、もう、ちょっとこの世界辛いっす、的な思いだったのでしょう。
出版が2009年2月なので、あとから振り返ると、相場の底であった2009年3月まであと少しのところでした、と。
翻って本書の帯。
「人生はいつでも、何度でも、どこからでも、やり直せる。」
うん、まあ、答え合わせ的な感じが無くもないですね。
やり直せる、というか、過去は過去で、今更他の人生を送ったことにはできないので、やり直せるということにして生きていこう、という本。
今を生きるしかないのだから、と。
そして、今を生きることで過去も変わる、というのが著者の言いたいことなのでしょう。
主人公は、会社を興し社員をそれなりに雇うまでに成長させたものの、うまく広げられずに倒産させてしまい、タイトルの「株式会社タイムカプセル社」に就職して第二の人生を始めることとなった45歳のおっさん。
この会社の仕事は、学校などのイベントで「10年後の自分へ」的な手紙を書いたものを預かり、それをその時が来たら本人に配達する、というもの。
主人公の配属された部署は、住所や名前が変わっていて、郵便では届かなかったものを直接手渡しするのがメインの仕事で、その仕事を通して配達した先の人も、主人公も成長していく、というストーリー。
喜多川さんの本はどれもそうだと思いますが、きれいで、悪人の出て来ない、自己啓発的なお話です。
2009年当時とは違い、自分は子どもを持つ親となり、もはやサラリーマンでも無くなったわけですが、年代も同等の立場である主人公ではあっても、どうも刺さりませんでした。
それはそれで、幸せなことなのかもしれませんが。
主人公は45歳ですが、実際の45歳の人が読んだら少し物足りない内容、ということかもしれません。