映画『海街diary』視聴。
是枝作品で、あなたはまだこれを観てませんね?的にAmazonさんにオススメされ続けましたので、観ましたよ、と。
何よりまず、綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず、という名前に圧倒されますが、彼女らを同時に起用できる、というのがすごいですね。
もしかしたら広瀬すずは当時は新人で安かったのかもしれませんが。
そこに希林さんとかリリーさんとかイツメンが入ってくるわけですが、それにしても豪華です。
大きく予算を取って、初めからカンヌありきで撮ったものでしょうか。
まあ、でもCGとか使うわけじゃないので、そんなにお金はかからないのかな?
あまりよくわからないですが。
そんな外形的な部分はともかく、話としては、父の不貞によって家族らしい家族生活を送れなかった3姉妹が、父の死を期にその不貞先の娘を引き取り、家族生活をやり直す恢復の物語です。
海も含めて鎌倉の景色を堪能させていただきました。
時間軸の移動がないので、観ていて疲れません。
過去に何があったのかについては、特に映像で振り返ることもなく、彼女たちの会話の中で段々と視聴者にも状況がわかるようになっています。
それに、腹黒い人が出てこない。
現実であれば、死があれば相続があり、それに伴いドロドロとした話も出てきそうですが、本作の世界では、話には出てきても、少なくとも登場人物にそういう人はいない。
たとえ口論になっても、それは単なるボタンの掛け違いだったのだということが後に観客にも理解できる脚本になっています。
あえて当事者にセリフで言わせているのでベタだという意見もあるかもしれませんが、間口を広くする映画なら、これくらいがちょうどよいのかな、という気も。
あと、「家族」の中に男がいないのも、話を拡散せずに進めることができている一因ですね。
それぞれに恋人はいるものの、彼らは家族ではないので中心には入ってこない。
男と女ゆえの衝突が無いので、下手をすると現実感がなくなりそうですが、それは過去にあったものとしているので、今は描かない、という形での上手い対処です。
全編通して、鎌倉の街並みととともに、ゆったりとした時間が流れますが、車が出てこないこともそう感じる理由の一つですね。
加瀬亮たち信金マンの外回りも、軽のクルマとかではなく、原付きのバイクですらなく、徒歩と電車。
営業の帰り道に次女(長澤)と海岸に腰掛けながら会話をするなんていうのは、それだけで絵になり、海というのはズルいですよね。
海のなかった元埼玉県民の僻みですが。
唐突に3姉妹の祖母の七回忌というイベントが挿入され、そこに母(大竹しのぶ)が15年ぶりに帰ってくる、という話から、父も母もその家を出ていってから15年、ということが観客に明らかになるのですが、すずが15歳であることから、ほー、そういうことか、とそこで分かる仕掛け。
母がこの家を売ったらどうか、という提案をしたのは、自分にとって辛い記憶しかない家は、きっと娘たちにとってもそうであるに違いない、という思い込みから来ているものでしょうけれども、即座に否定されるあたりでも、15年の時を感じさせますね。
ええ、15年って大きいですよね。
生まれた子が広瀬すずになってるわけですから・・・。
母代わりでずっと気を張っていた長女(綾瀬)が、恋人(堤真一)からの渡米の誘いを断りここに残るとした決断には、第三者的には残念に思いましたが、話の流れとしてはそうなるよなー、と。
恋人が言うように、家族を「ゆっくり取り戻」す物語なので。
鎌倉の四季と美人4姉妹を目で楽しみながら、家族っていいなぁ、と感じるための映画。
dTV、U-NEXTでも見られます。