長谷川朋子『NETFLIX 戦略と流儀』

長谷川朋子『NETFLIX 戦略と流儀』 評論

長谷川朋子NETFLIX 戦略と流儀』読了。

ネットフリックスのアメリカ本国での成り立ちを解説した本ではなく、彼らが日本に上陸し、ビジネスをどう展開してきたか、また進めていこうとしているか、ということを書いた本です。
日本でのサービス開始が2015年なので、取り扱う期間もかなり短いわけですが、新書本の場合、これくらいのフットワークの軽さがちょうどよいのかもしれません。
実際、この間わずか6年ほどですが、すでにVODサービスといえばネトフリアマプラというくらいにはメジャーになりましたよね。
自分は、ネットフリックスは契約したことがないのですが、学生時代はコンテンツビジネス界隈の研究室にいたということもあり、既存の地上波放送局・衛星放送局・ネットフリックスそれぞれに知り合いがおり、彼らが今どういうビジネスに取り組んでいるのか、という観点で楽しく読みました。
よく知る人間も本に登場していましたし・・・。

それにしても、アマゾンプライムに加入した当初は、アマゾンで買い物をしたときに送料を無料にするためのオプションと理解していたのに、いつの間にか音楽も聞けます、映像も見られます、となって一体どこまでサービスが拡充するのか、と驚いていたのも、ほんの数年前のことですね。
自分はと言うと、結局、音楽はそれなりのものを聞くには追加料金が必要だということで、YouTubeMusicを契約することになったし、映像でも見たいのはスポーツ中継がほとんどだったということに気づきDAZNに入ることになりました。
でも、こういうサブスクのサービスに対する心理的な障壁がアマゾンプライムで取り除かれたという点、またその施策が、ネットフリックスの日本上陸の動きに対応していたとするならば、間接的にではあっても確かにネットフリックスは我々の生活を変えました。
中身は知らないままですけど。

2017年のカンヌでも話題になった『ROMA』を解説する箇所を中心に、本書で繰り返し述べられているのは、グローバルでありローカルなコンテンツの優位性の話です。
無論、ここでいうローカルというのは、「国」に限定する話でもなく、例えばそれこそLGBTでも構わないわけですが、マイノリティ受けするコンテンツもグローバルに展開すれば、世界各地でのマイノリティ需要を吸い上げて商業ベースに載るレベルにまで到達させることができる、ということですね。
現象としては、昔宮台真司の言っていた「島宇宙化」の最たるもので、たとえニッチな嗜好に向けた作品であっても、全世界で2億人も視聴者がいる中では、容易に採算に載ってしまうという。
これまでだったら、絶対に商業ベースに乗らないと思われる内容のドキュメンタリーとかを目にすることができる機会が圧倒的に増えたということなのでしょう。
東中野とか池袋とか渋谷とか、好事家気取りでミニシアターに行く必要もないですよ、と。
ああいう単館ロードショーで見る作品の何が悲しいかって、我々は、「あー、多分これ撮ってる人たち、これでは食えてないんだろうなぁ」という憐憫の目で見ているし、ともすれば本人たちもそれを前提とした作品になっていたりするところ。
でも、もうそういう時代じゃないということですね。
以前、未だにバイト生活で食いつないでいる旧友のドキュメンタリー作品が深夜のNHKで放送されたときは、思わず正座して視聴してしまいましたし、見終えた後は、これを世に伝えたいがためだけに君はまだここまでの生活をしてるのか的な気分になったのですが、今後はそういう思いもしなくて良くなるかもしれませんね。
ありがたい。

面白かったのは、VOD企業の進出について、アメリカでは放送局と敵対するような側面があったのに対し、日本では、より協調的な動きが見られたことについての解説。
映像コンテンツ制作の日米比較で、アメリカは制作プロダクションが企画を作り、パイロット版まで作成してから放送局に営業をかけるのに対し、日本の場合は放送局主導で作られ、プロダクションは下請けのような位置づけだという説明がありました。
そして、アメリカではコンテンツホルダーとしての制作プロダクションが、放送局を選ぶ中にその選択肢の一つとしてネットフリックスを始めとしたVODサービス事業者が登場した経緯がある一方、日本では、コンテンツの権利を保有している放送局側が、広告収入が急減する中での新たな収益源として、VODでの配信に活路を見出したという流れがあったということです。
アメリカとは違い、必ずしも日本ではネットフリックスはテレビと敵対する関係ではないのですね。

ただ、日本のアニメの場合、契約がどうなっているのかは、もう少し知りたいと感じました。
というのも、岡田斗司夫がYouTubeで、「なぜネットフリックスの独自アニメはつまらないのか?」というテーマで話をした回で、ネットフリックスの独自アニメは、プロダクション側が権利を持てないので、あまり本気出して作らない。だからつまらない、というロジックを展開していたからです。
本書でも名前の上がっていたチーフプロデューサーをdisってましたね。
つまらないのかどうかは、ネットフリックスのアニメを見たことがないのでよくわかりません。
ですが、契約については各プロダクションとどういう体系になっているのでしょう。
ちょっと、S井の話が聞きたいな、と。

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