野原秀介『投資思考』

野原秀介『投資思考』 評論

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野原秀介投資思考』読了。

開成→東大→GSの債券セールス、からの起業。
起業した会社は、事業家botさんが出資しているそうです。
業況は好調とのことですが、何をされている会社なのか、本書では一切触れられていません。

新卒でセルサイドのセールスに入って、さっさと稼いで20代で辞めちゃう人、結構多いですよね。
お金はある程度貯まるけど、これといって上積みもないし、今後もバイサイドに頭を下げ続けるだけの人生を考えると先が見えてしまい、ここらで違う道を、という思考は理解できます。
出資を受けての起業なら、最悪ポシャっても、生きていけるだけの蓄えはもうあるし、という。
投資思考」ですね。

むしろ若いときのほうが、その踏ん切りは付きやすいのかも知れません。
そこそこ歳を取ってきて、贅沢な暮らしをすることを覚え、金のかかる嫁を娶ったりなんかして、元麻布ヒルズとかに住んじゃって、芸能人とご近所さんであることを自慢しだしたりして、「〇〇さんのところねー、うちの子と幼稚園が一緒でー。」

あ、だめだ。特定されてまう。

で、仕事を辞められなくなって、同業の仕事をぐるぐるまわって、なんて人、いますよね。
そして、不景気のときには真っ先に切られてしばらく業界からいなくなるけど、景気が戻るといつの間にか違うブローカーで復活している、みたいな。

「この数年何してたんですか?」
と聞くと、
「筋トレしてました!」
とか言う憎めないタイプの人。

本書の著者のように「投資思考」を駆使するのも人生だし、先々のことは考えず、マーケットサイクルの浮き沈みに身を委ねながら生きるのも人生です。

本書は、社会人というよりは意識高い系の学生さんが読むと良いと思います。
バランスシート、IRR、オプションバリュー、シャープレシオといった言葉は出てきますが、人生訓に落とし込むために使っているだけなので、特に難解なこともありません。

あとは、サラリーマンとしての処世術的な小話がいくつか。
20代のサラリーマンが一通り経験するような話で、正直、ある程度キャリアを積んだ人に気づきがあるものかと聞かれると、視線をそらしたくなりますが。
それでも、ツイッター文学で見かける陰湿金融文学のような腐臭は一切しません。

なぜでしょうね。

ここは持論なので異論は認めますが、昇進もクビも上司の好き嫌いで片付けられる外資のほうが、同じクビでも救いはあるということだろうと思います。
360度評価みたいなもので「真の実力」みたいなものを測り、それで待遇を決めていこうとする日系企業で失格の烙印を押されるのと、ちょっとお前とは組みづらいからバイバイな、でパッケージ貰って外資をクビになるのとは、本人の受け止め方も業界での受け止められ方も違いますからね。
それに、景気が悪くなるとさっさと人を切っていく習慣があるなかでは、別にクビになるのも本人の責任じゃないし、という共通理解があります。

もちろん、景気が戻ったときにまた声をかけてもらえるためには、人脈も必要で、そういったものを積み上げていくのが大事だというのは、本書にもあるとおりです。
ただ彼の場合、その人脈の一定程度は開成・東大に依拠しているわけで、参考に出来る人と出来ない人がいるのは事実。
多分、本人もそれに自覚的なので、本書でも、表からは無理だったとしても、メールアドレスを類推してレジュメを送りつけるとかして裏口から入る工夫をしろ、みたいなことを書いています。

それでも表紙には「東大→ゴールドマン・サックス→起業」とあって、開成は書いていません。
記者が大学の後輩であることを名乗ったら、自分は開成なので、と返す某首相が見たらどう思うでしょうか…。

意識高い系本

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