『小飼弾の超訳「お金」理論』

『小飼弾の超訳「お金」理論』 評論

小飼弾の『小飼弾の超訳「お金」理論』読了

内容が色々と飛びすぎているだけでなく、章ごとに言っていることがずれてきたりするなど、雑誌の連載にしても、統一感みたいなものはもっとあっても良いのでは、と思ったのでした。
ところが、あとがきを読んだところでは、ご自身のウェブチャンネルで言いたい放題言ったものを、その番組の司会者で編集者でもある方が、まとめた書だということで納得しました。
そういう軽さが良い意味で本にも憑依していて、さっと読めるのですね。

全体を通して、あがりのポジションにいる爺さんが、マウンティングではなくこの30年の日本の凋落を見て、歯がゆさを感じながらも社会に色々提言する、という姿勢で居続けるところに好感が持てます。
言葉を変えながら、投資家・資本家の側から見た世界を一生懸命教えてくれようとしているわけですね。

現役世代、特に働き始めてさほど時間が経っていない若者をメインの読者層に置いているような感じがします。
ブラックな職場でなくても、ずっと働いていると、働くこと以外からお金をもらう手段があるということを、忘れてしまったりしますからね。

バランスシートの解説に始まり、会社は誰のものかという議論を経て、資本主義社会でみんなで豊かになるために、日銀とかGPIFの持っている綺語の所有権をもらえるような仕組みにしよう、という一見するとトンデモな主張まで、全体の流れとしては頷けるものが多いです。

細かい部分では色々ありますが・・・。

まず、「中小企業は生産性が低いから潰れても無問題」論について。
このあたりアトキンソン氏と同じことを言っていますね。
ただ、自分は、今の日本の大企業の生産性(の相対的な高さ)は多分に中小・零細企業の犠牲の元に成り立っていると思っています。
なので、そういった小さな町工場レベルの企業を潰したところで、そこのノウハウが霧消するだけで大企業の生産性はむしろ下がるだけなんじゃないかという考えです。

それから、ベーシックインカム関連の議論の中で、クリエイターやeスポーツのプレーヤーを例に、もはや嫌々働くなんていうのはナンセンス、賃金程度のお金をもらってなくなるような勤労意欲なんて、もう必要ない、という主張をしています。
岡田斗司夫氏やホリエモンなども、こういう考え方ですよね。
これについては自分は、「そういう仕事もあるよね」というレベルの同意なんです。
このコロナ禍で突然出てきた「エッセンシャルワーカー」という言葉に代表する仕事だったりとか、街の下水道管を整備したり、ゴミを収集したりとか、そういう仕事のことを多分忘れているんですよね。この手の議論は。
たいていそういう話をすると、「いやー、そういうのは全部ロボットがやるから」みたいな、何年先になるかわからない話でごまかされるんですけれども、まあ、無くならないですよね。
やりたがる人がいない仕事をどうするか、は常に問題です。
国内に成り手がいないからというので外国人研修生という名の奴隷を輸入する、というのも、いつまで続けられるかはわかりません。
すでに日本のお賃金は安いんですから。
「いやいや、そういうのは需給で決まるのです」と言って早幾年。
建築界隈でも、上がるのは材料費と職人の平均年齢だけ。
「報酬の伸びも著しいため、若い人の流入が続いている」なんて話は聞いたことがありません。
こういうのは一気に来るのでしょうか?

あと、労働と福祉は分けるべき、という主張には賛成です。
天下り先としての厚生年金基金の例を上げるまでもなく、本来政府がすべきことを民間に押し付け、なおかつ役人自身の身の振り方まで確保するみたいなやり方は、よろしくないというだけでなく、非効率だと思うのですよね。

その他には、国を会社組織と同じように見てはいけない、国は経済の外部性を解決する主体だから、という議論があった後に、国のバランスシートを見せて、製造業の会社だと自己資本3割は普通だから今の日本の財政も健全、というかなり雑な議論に持ち込んだり、賃上げを要求する時点で負けだ、と言ったそばから、賃上げは団体交渉でしないと成功しません、となったり、まあ、言いたいことは分かるのですが、この並びでその主張の流れはよろしくない、というものが散見されました。

そういうところも含めて、勢いで読ませるのが小飼流なのかな、と。

小飼弾本

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