GTD本も4冊目。
今回は、旧版のデビッド・アレン 『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(以下、本書あるいは『旧版』)です。
最初にレビューをした『全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(以下、『全面改訂版』)の元バージョンということになります。
このブログでのそれぞれの記事は以下の通り。
本書の監訳者のあとがきでも、最後尾の宣伝にも、二作目の『ストレスフリーの仕事術』(以下、『仕事術』)が出てきて、あれ?と思ったのですが、日本での出版は前後しているのですね。
この『旧版』は、原著2001年、日本版2009年、
二作目の『仕事術』は原著2003年、日本版2006年、
でした。
前後しているのは、監訳者である田口元氏があとがきに書いているように、事情があるのでした。
本書の原著『GETTING THINGS DONE』については、この田口氏による監訳本の前に日本語に翻訳されたものがあり、原著から時をおかず2001年のうちに、はまの出版から『仕事を成し遂げる技術』として出ているのですね。
なので、本書が出るまでは第一作と第二作は順に出版されていたということになります。
その内容をリニューアルしたという触れ込みの『全面改訂版』を既に読んでいるのにも関わらず、わざわざ本書を読んだ関心としては、「全面改訂」とは、どのあたりが変わったものだったのか知りたかった、というところに尽きるのですが、読後感としては、驚くほどあまり変わっていない、という感じ。
章立てについても、第1章から第13章までまったく同じ。
本書は第15章まであるのですが、残りの2章については、旧版を書いてから後に科学の分野で得られた知見についてと、どうやら『ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編』(以下、『ひとつ上のGTD』)の内容を少し意識したのであろう、GTDの上級編についての触りを少々。
著者自身は、この改訂について、時代にそぐわなくなった言い回しや内容を書き直し、また、技術の進歩は日進月歩なので、旧版にあったツールの類の紹介は止めた、としています。
それらとて、テープレコーダーやボイスレコーダー、みたいなところは、今日ではiPhoneで十分だよねー、くらいのものでわざわざ書を改めるほどのことは無いけどなぁ、と。
じゃあどうして『全面改訂版』が必要だったのか、という話になるわけですが、大きいのは、GTDの各ステップの呼び名を変えたことにあるのではないでしょうか。
たかが呼び名なのですが、そのステップがGTDの肝である以上、彼の行うセッションだとかセミナーだとかでその呼び名を変えてきているのであれば、テキストたる本書でもそれをアップデートしたものを流布させておかないとなりません。
一番の理由はそのあたりじゃないかな、と。
以下は、『旧版』と『全面改訂版』のGTDの5つある各ステップの呼び名です。
左が『旧版』、右が『全面改訂版』です。
収集 → 把握
処理 → 見極める
整理 → 整理 (変更なし)
レビュー → 更新
実行 → 行動
プロジェクトを管理 → プロジェクトを管理 (変更なし)
そもそも原語で、どういう呼び名だったものがどういう呼び名に変わったのかという点がわからないので論評しづらいのですが、少なくとも日本語訳で変わったところは、原著でも変わっていたところなのでしょう。
新しくなった日本語での呼び名が、何か以前よりこなれてない訳になっているようなものも無きにしもあらずなのですが・・・、訳語として適切なのかどうかはともかく、元の英語での呼び名が変わったので、訳書のなかでも「全面改訂」せざるを得なかった、というところはあるでしょうね。
可能性としては、むしろ『旧版』の訳語は、もともとのGTDの思想をうまく体現していたので、変える必要も本来はなかった、ということもあり得るわけです。
元々の本の訳語は、原著の全面改訂を先取るレベルで洗練されていたので、変える必要もなかったかも、みたいなことはないのかな、と。
原著レベルでどういう変更だったのか、ということを知りたければ、それぞれ『旧版』・『全面改訂版』の原著を読まないとわからないでしょうが、まあ、さすがに趣味とはいえそこまでする気も無いので詮索はここまで。
まあ、章立てはほぼ同じなのに、『全面改訂版』は『旧版』に比べて100ページくらい多いというのも、書き直すうちに少しずつ 少しずつ冗長になっていったということの現れなのかな、と。
『全面改訂版』のAmazonレビューが結構ひどいことになっているのも、もしかしたらそのあたりに原因があるのかもしれません。
全4冊あるこのGTD三部作ですが、個人的にはこの『旧版』と『ひとつ上のGTD』で十分かと。
あとは、実践ですよ実践。
コメント
[…] 手にとったのは、GTDのことについてネットをぐるぐるしていたら、本書での要約を超えるほどの内容ではない、といった記述を見たためです。要するに、GTD本自体を読む必要は […]