國立拓治『[中学生]成績トップの子の親がしていること』

國立拓治『[中学生]成績トップの子の親がしていること』読了。
愛知県で個人塾を経営している方が書いた、中学生の親向けの本です。
親として子どもの教育をどうサポートしていくか、という点に絞った内容ですね。

高校受験を念頭にした中学校生活の過ごし方・勉強の仕方についての解説で、当然に中学受験をしなかった家庭が対象となります。
思春期・反抗期を迎えた際の対応なども含まれているほか、親離れ・子離れについても触れています。

中学受験についての本だと、そういう点に触れられることはあまりありません。
年齢的にそうならざるを得ないのはもちろんですが、中学受験の場合、受験自体がどこか親主導というよりは塾主導に進むからでしょうか。
そしていつのまにか親も教育産業に金も心も吸い取られている、と。
SAPIX的世界観に染まる重課金プレーヤーはあくまでも親で、子どもはそのコマに過ぎず。

本書で、いつかは親が子どもの勉強をサポートする時期も終わるのだ、という当たり前のことに気付かされました。
無論、本書は塾の先生が書いたものなので、当然のことながらその後は民間教育を頼ってくださいね、という営業トークにはなるわけですが、それでもいかに自分の塾が素晴らしいか、みたいなことは一切書かれていません。
人気の個人塾ということもあり、そんな営業は必要ないからでしょうけれども、親目線での塾の選び方、そしてその付き合い方まで記されているのは参考になります。

本書では中1の最初の定期テストに向けての意識付け・習慣づけが強調されています。
そこでの本人にとっての「テスト勉強の当たり前」がその後を左右する、というのは頷けます。
中学受験を経た子どもらであっても、せいぜいMARCHレベルがボリュームゾーン、みたいな議論はよく見ます。
これなんかも受験が終わった後、勉強が本人主導になってからの習慣づけに問題があったりするのでは、と思えてきます。
でも、中学受験が終了したところで燃え尽きるのは当然というか、まあ、そもそもそういうゲームなんだろうな、と。
だからこそ一般公立校上がりの人間でも大学受験ではいい勝負ができるというか。

内容としては、昨今の英語のカリキュラムの問題点についての指摘が興味深かったです。
英語教育改革の結果、中学のカリキュラムが難化しているだけでなく、小学校で触りをやっただけなのにそれらを完璧に履修したものとして進むので、差が付きやすいというのは注意したいところです。

我が家でも単語の綴りを練習させてはいますが、スペルミスを修正させているうちにすでに苦手意識が出てきてしまっていて、そこが悩みどころ。
当人からしたら、日常で使う場面もないし、学校でもそんなに真面目に教わっていないものにどうしてこんなに取り組まないといけないのか、というところなのかもしれません。

中学生の親向けとなっていますが、小学生の親でも参考になった一冊。