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小泉悠『「帝国」ロシアの地政学』読了
テレビだけでなくツイッターでもおなじみ、ユーリィ・イズムイコ氏こと小泉悠氏の本。
著者が実際に歩いたロシアの周縁部の風景から、ロシアにとっての国境、ひいては国家観が描き出されます。
ソ連という国はなくなったし、それはロシアとは異なるものだということは分かってはいても、ロシアの人々にとっては、どうもすんなり片付けられるものでもないというのが、旅先で出会った人たちの話すあれこれから浮かび上がります。
旧ソ連諸国とは冊封体制のような関係で、自分たちはその中心でありたい、というものなのでしょう。
少なくともチャイナのように、全世界の中心を考えているわけではなく、自意識としてはあくまでも旧ソ連邦の範囲内というのがロシアらしいですね。
米と張り合っての超大国はもう目指すべくもないということでしょうけれども。
無論その自意識は、もうソ連の一員ではなくなったのだから干渉しないでくれ、という国々とは軋轢を生むし、またその自意識は少なくとも北方領土においてもそれがその枠内にある以上、日本との交渉もうまくは進まないだろうことも容易に推測できます。
ウクライナ紛争についても、この視点からの解説です。
自分などウクライナの場所も地図を見てもあやふやで(、というかトランプ政権時代、ポンペイオも記者から場所がわかるかと問われて激昂したらしいですが、)あの紛争の内実もよくわからなかったのですが、ウクライナ海軍の総司令官が、クリミアが侵攻された後には、ロシア黒海艦隊の副司令官になったとかいうくだりを読むと、紛争と言っても自分らが持つ領土戦争の感覚では到底理解出来なさそうで、今後も下手にコメントしないようにしようと思いました。
全編通して、大陸国家と海洋国家の国家観の違いについて、改めて驚くとともに、日本を含め周辺国を主権国家とは見ていないロシアの本音がチラホラと見え隠れする様に、やっぱり核武装は必要との思いを強く持つに至りました。