田村麻美『ブスのマーケティング戦略』

田村麻美『ブスのマーケティング戦略』 評論

田村麻美ブスのマーケティング戦略』読了。

ベストセラーでしたが、タイトルが強烈過ぎて読んでいませんでした。
ブスの自虐ネタとか別に聞きたくないじゃないですか。
でも、方々の評判を聞くにそういう本ではなさそうということで読んでみることに。

本書を通じても、ルサンチマンを晴らすかのようなオレ話ではないし、さすがそのあたりは合コンを通じて「傾聴力」を磨いてきただけのことはあります。
男性攻略のためのに市場調査(=合コン)でトライ・アンド・エラーを繰り返した結果、コンプレックスの裏返しとしてのプライドの高さはめんどい、と分析していて、本にもそれが落とし込まれています。
徹底した下から目線で、同輩たる「ブス」に向けて書いた、という体です。
時折「編集者」から質問が入り、そこに答えるという形式がとられるのですが、上から目線でのツッコミ役をこの「編集者」に任せることで、著者が思い上がった筆致にならない仕組みになっています。
最後に、老いの出てきた美人に対して、戦略的に生きてきたブスからの勝利宣言がカマされていて、そこのマウンティングが残念だ、というAmazonレビューがありましたが、個人的にはそれくらいいいじゃないですか、という気がします。
最後の最後ですし。
美醜で判断されることの辛さは、ずっと隠していても最後っ屁を食らわせたくなるほどには大きいということです。
ブスと美人とで相手の態度が変わる、ということは意外と気づかない人は気づかないのです。
誰も自分以外の人生を経験することはできないので。
私の妻もその口で、彼女は本書でいうところの育ちの良いブスなのですね。
彼女が会社づとめをしているころ、体調が悪くなった可愛い後輩が、男性陣に心配されている様をみて、自分のときはそんなことなかったな、と。
そこではっと気づいたと。
可愛い人はそれだけで得なのだな、と。
心配もしてもらえるし、助けてももらえるのだな、と。
そういった気付きがあった後、そこで、男性性の、とか主語を大きくして、それを良くないこととして糾弾してまわる生き方もあるのでしょうけれども、まあ、それよりはそれらを逆手に取って戦略的に生きてやろうよ。
それがこの本の主張していることでしょう。

当初の予定ではここまで自分の半生をさらけ出す内容ではなかったようですが、それでは読者にウケないだろうと自分で気づき、路線を変更しており、そこに賢さを感じます。
こんなことまで書いてしまって夫婦生活とか大丈夫なのか、と心配になりましたが、きちんと現在の夫にもその旨承諾を得ており、そこは杞憂でした。

そう言えば、子どもの頃住んでいた団地で、隣の部屋のお母さんが「浦和一女」出身でした。
「一女出ました。」というのが口癖で、分かる人は分かるのですが、もちろん、分からない人はそんな事言われてもわかりません。
あるお母さんなど何の話なのかわからず、「私は、次女なんです。」と返してしまった、なんてのが笑い話になっていました。

あと、小学校のときの同級生のお母さんにも一女出身だという人がいました。
そのお母さんは、別にそれを口に出したりはしないのですが、ママさんバレーのときには必ず「浦和一女」と書かれたユニフォームを着てくるのだそうで、それが影で話題になっているのを聞いて知っていました。

当時、そういうエピソードでは知っていたものの、いずれも「一女」を卒業したのちにどこかの大学を出た、という話も聞かなかったし、外に働きに出ていた様子もないので、どちらのお母さんも、高卒で専業主婦だったのでしょう。
今の基準で考えるといささかもったいない話です。
人的資源を有効活用できていなかったのですね、という見方もできる一方、旦那の給料だけで首都圏で家が買えた幸せな時代、とも言えます。
働くのは父親だけで郊外の団地や建売戸建てに住んだのが普通だった時代と、パワーカップルだけど値段は倍以上する湾岸のタワマンに住むのが当然であるかのような今と、実は暮らし向きはさほど変わってない?

それでも、著者は親から「OLにはなるな」と言われ育てられ、それが理由で税理士を目指しました。
経済の修士を出れば、受験科目が免除になるというハックも使いながら。
そしてそれ故に、いわゆる会社員・OLとしての人生は歩まなかったわけで、それが今に繋がっています。
ブスかどうかに関わらず、女性の生き方としても一つのモデルになりうるというか参考になりますね。
ブスによるブスに向けた人生戦略の本でしょうが、男が読んでも有益でした。
そして、いつか娘にも読ませてやりたいな、と思った一冊です。

まあ、娘が著者のように性欲の強いタイプだったらそれはそれで父親としては心境は複雑ですが・・・。

kindleunlimitedで読めます。

田村麻美

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