斉藤英治『王様の速読術』読了。
2013年に出版された文庫本です。
元になった単行本があるとのことで、元ネタとしてはもっと古いのでしょう。
こういうハック系というかノウハウ系の本で古い本を読むことはあまりないのですが、某メルマガでオススメされたので手に取ってみました。
速読の種類にもいろいろありますよね。
音読せずに写真のように読み込む、という純粋な速読技術のものから、閉じたままの本を傍らに置いておくと内容が頭に入ってくる、とかいうオカルトっぽいものまで。
本書は、その中間あたりに位置するのかもしれません。
一応「写真読み」という読み方にも触れてはいるものの、その技術面にまでは踏み込んでいません。
一方、表紙に手を置くと著者の思考が入り込んでくる、とかいう「ちょっと何言ってるかわからない」的なものもありません。
むしろそういった技術よりも、自分が目的意識をもって、その本から予め得たい知識を予定しておくことで、情報を取捨選択していこう、という方向性。
そのためには一冊読むのに使う時間も限定していこう、という提案です。
速読というよりは、つまみ読みの多読のススメですね。
それがよくわかるのが以下の箇所。
「100%の機能を得るために100%の時間を使ってみる。(中略)
100÷100=1である。効率は1。
では、もし80%の理解でいいから、20%の時間で読むことができたらどうだろう。
80%÷20%=4。なんと、これだけで精読するよりも四倍も高い効率ということになる。」p.98
8割の理解で良いからつまみ読みをしてごらん、と言われても「うーん8割かぁ」と思ってしまうほどには貧乏性ですが、でも、順を追って読んでも8割も理解出来ているかと言われたらそれもあやしいので、言っていることはわかります。
ただ、つまみ読むことで重要な8割を抜き出せるかというとそれも自信ないんですよね。
本書では、だからこそ目次を重点的に読むことを勧めているのですが、結構あれも難儀することが多いですよね。
目次は目次で、それだけを見てもわからない独りよがりな見出しが続いていることも多いので。
まあ、そういう本は避ければ良い、と言う見方も出来ますが。
もちろん、こういう読み方がうまくいくジャンルとそうでないジャンルというのはあります。
小説の目次を読んで、展開がわかっても興ざめでしょうし。
そういう意味ではビジネス方面での読書法ということになります。
膨大な資料から目的の情報を効率よく引き出すやり方なので、本の読書法に限らないですね。
著者はお医者さんではないようですが、医学博士ということで論文を読む機会は多いのでしょう。
実際、著者には他に仕事術の本もありました。
本に対する姿勢を予め決めておく。
この本には30分しかかけない、と事前に決めておく、というのが参考になります。
ご自身が仕事を続けてきた中で、論文によっては精査すべきものとさっと読むだけで良いもの、というのはあり、両者に同じだけ時間をかけていては足りなくなる、ということが多々あった上で生み出された手法なのかもしれません。
事前には重要性はわからないこともあるからこそ、とりあえず時間は区切る、というのはありですね。
30分かけた後、そこで改めてもっと読み込んでみよう、という判断をしても良いので。
あくまでも自分にとってのその本の重要度は自分で決める、というところからの「王様の速読術」ということですね。
時折、本を読むというより本に読まされる感じになったりすることもある方にはオススメの一冊。